沖縄の磐座


斎場御嶽さいはうたき
沖縄県南城市知念字久手堅270-1


■琉球王朝がもっとも重要視した琉球最高の聖地

 ウタキとは、神が降臨する聖域のことをいうが 社殿はなく、そのほとんどが山容の美しい山や樹 林のなかにあり、岩石や老樹が神の依代として祀 られている。琉球の始祖・アマミキヨが最初に降 臨したと伝わる久高島と、東方のニライカナイを 望む知念岬に、斎場御嶽が存在する。
 三角形の造形は、約一万五千年前におきた地震 による断層のズレとされるが、その神秘さゆえに、 王朝の成立以前から信仰されてきた聖地だったと 思われる。その場にたたずんで見てわかることだ が、サンコウリが発する神秘性はただものではな い。自然の造形が、ここまで神を体感できる空間 をつくりだすものかと驚嘆する。そしてその東に、 神の島・久高島が見えるのだ。
 琉球が三山時代から統一王朝に移り、基盤を固 めていく過程で、王朝の象徴にふさわしい祭祀空 間を探したと思われる。しかもそれは、琉球の始 祖・アマミキヨが降臨したとされる久高島を望む 場所でなければならなかった。アマミキヨとつな がっている「儀式」をともなう必要があったから だ。
(『磐座百選』より一部抜粋)





久高島のカベールくだかじまのかべーる
沖縄県南城市知念字久高


■琉球の祖神・アマミキヨが初めて来臨した岩礁

 琉球の祖神・アマミキヨが初めて来臨したのは 久高島だという。島の東北端にカベール岬とよば れる岩礁があり、東海のニライカナイからアマミ キヨが依りついたと伝わる。アマミキヨのアマは 「あなた」の訛りで、ミは「海」、キヨは「人」の 意、つまり「遠い海からきた人」のことだという。 岩礁の周囲には、戦前まで島の三分の一を占める 広大なクバの原生林が生い茂っており、アマミキ ヨが住んでいたところという意で、カベール(神屋原) とよばれてきた。
 ここは久高島が隆起したとき、最初に姿を現し たところと言い伝えられ、アマミキヨの来臨伝承 と相まって、長く「霊地」として畏れられてきた。 さらにいえば、子供が生まれたとき、人が死んだ ときは、カベールに立ち入らぬよう注意をうなが したという。カベールの存在が人の生死と深くか かわっていたことを示唆している。
(『磐座百選』より一部抜粋)




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